ショートトリップにも関わらず今回はやたら濃い。きっとそれは、ホンモノの職人技を目の当たりにした稀有な時間だったから。
普段何気なく口にするハイボールも、作り方ひとつでこんなにも美味しくなるものなんだと…それは今まで“ロック“一辺倒だったわたしのつまらない“こだわり“さえも軽やかに一蹴してくれた。
そして改めて白州は素晴らしいウィスキーだということを再認識させられた旅であった。
それでは皆さんもご一緒に、“天使の分け前“のご相伴に預かる旅にお付き合いくださいませ。

蒸溜所の華
ウィスキー博物館(集合場所)で、大画面のビデオ映像を観て、いよいよ白州蒸溜所に移動。

こちらでは写真撮影は可だが動画や音声の録画録音は不可。

ここでは、プロジェクションマッピングで、ウィスキーの製造の流れを分かりやすく解説してくれる。

原料の麦芽ピートの紹介も行われ、サンプルの匂いを嗅いだり触ったりできる点も面白い。
モルトウィスキーの原料は、水と麦芽と酵母。白州蒸溜所では仕込水に南アルプスの山々をくぐり抜けてきた地下天然水を使用している。麦芽の原料は二条大麦。まず大麦を適度に発芽させ、内部に酵素を蓄えた大麦麦芽をつくる。この時、ピートで燻した麦芽は、燻製のようなスモーキーフレーバーをまとい、原酒の個性となる。

ここからは実際の製造工程(仕込→発酵→蒸留)を見ていく。

仕込では、仕込水と、粉砕した大麦麦芽を共に仕込槽へ投入する。麦芽中の酵素作用で、デンプンを糖に変化させる(糖化)。この工程で出来上がった糖化液を「麦汁」と呼び、周囲にはこの「麦汁」の甘い香りが漂っていた。
発酵は、適温に冷ました「麦汁」を発酵槽へ。ここで「酵母」を加えて発酵させる。「麦汁」の糖がアルコールと炭酸ガスに分解されて出来たものが「もろみ」となる。「もろみ」はアルコール度数約7%となる。
白州蒸溜所の特徴は、伝統的な木桶の発酵槽を使うこと。これにより、複雑で厚みのある味わいが生まれる。サントリーでは、複数の酵母を使用しており、その他の原料や発酵条件によって異なる個性の「もろみ」が出来上がる。
そしてここが、“蒸留所の華“、蒸留窯(ポットスチル)の工程だ。

ポットスチルは、初溜・再溜ともに8基ずつ存在し、それぞれにストレート型、ランタン型が混在する。そして「沸点」の差を利用し、ここでアルコールの香味を濃縮する。このような「蒸溜」を経て「ニューポット」が生み出される。
この生まれたばかりのウィスキーは、アルコール度数65〜70%で、まだ無色透明。また、大きさや形状の異なるポットスチルを使い分けることでも多彩な原酒が生まれることとなる。
そしてここからは、蒸溜施設を出て敷地内をバスで移動して貯蔵庫に向かった。
見学用の貯蔵庫に入ると貯蔵には欠かせない樽の説明がある。ところで、この貯蔵庫内に入った瞬間、エンジェルズシェア(天使の分け前)が飛び交っている関係上、あのウィスキー特有の香りが混じった空気が鼻腔をくすぐってくる。これはウィスキー好きならまさに天使になれる瞬間かも知れない(笑)

が、体質的にアルコールに弱い方などは、入らずにバスで待機してもいいということなので、そのほうが安心かもしれない。

こちらの樽は、見本用のものではなくホンモノの原酒が入ったもので、このようにウイスキーの原酒が樽で熟成される過程で、水分やアルコール分が蒸発して量が減る現象を一目瞭然に指し示してくれている。ちなみに年間約2%程度ずつ蒸発していくのだとか。

テイスティング
そして待ちに待ったテイスティング♪


ツアーの最後を締めくくるべく左から、
・白州ライトリーピーテッド原酒(度数43%)
・白州ピーテッド原酒(度数50%)
・白州スパニッシュオーク原酒(度数50%)
・白州NA(43%)
今回のテイスティングでは白州を構成している3種類の原酒と白州NA、そして白州ハイボールを頂いた。

ここでは各原酒の特徴やテイスティングのコツ、味わいや香りの表現の仕方など丁寧に説明を受けながらテイスティングを楽しむことが出来る。実際に飲み比べてみると、熟成樽や麦芽による違いをはっきりと感じることが出来た。

見学ツアーのあとに訪れたのは、白州テラス。

この後テイスティングラウンジに行く予定だったので、チーズの盛り合わせと、白州フォレストピザをシェアして、白州サントリー水割りと共に。
星型のピザは、星の先端にソーセージが入っていて見た目以上に手が込んでいる。ちぎりやすくなっていて、先端を持ってちぎると空洞になっているので、そこに野菜を詰めて食べる。この食べ方は店員さんが説明してくれた。これが通常のピザより野菜がたくさん食べられて、白州の水割りにもマッチしていた。
そして、〆はテイスティングラウンジ。わたしたちが注文したのは「白州熟成体感セット」で、白州NA /白州12年/白州18年の飲み比べとなっている。

やはり年代物はNAと比較すると、熟した果物のような甘さやまろやかさが感じられるなどより複雑な味わいが感じられた。
実はこの日は、もうひとつの見学にも参加しているのだが、今回の記事は一旦ここで終了として、他は番外編としてまた次回に持ち越すこととする。
ザ・バンブーバーの思い出
美味しいお酒を飲んだら、以前マンダリンオリエンタル・バンコクに宿泊した時に訪れたザ・バンブーバーの素敵な夜のことを思い出した。
ここは、1953年に誕生以来、世界中からジャズ愛好家が訪れるバンコクでも屈指の名店。この伝説のバンコク初のジャズスポットは、今も1950年代独特の雰囲気を保ち続けている。

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