国立工芸館
兼六園の随身坂口を出て百万石通りを能楽堂別館方面を道なりに進んでいくと国立工芸館が見えてきました。
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この企画展の開催を知った時から、本当に楽しみにしていたので、もうここに足を踏み入れただけで否が応でも感情が昂ってきます。
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館内の作品は1部を除き全て撮影可(ブラッシュ・動画は不可)です。
超絶技巧の作品の数々
2階から始まる展示では、メインビジュアルにもなっているサンダースをはじめとするイーブイとその進化系たち。
どれもポケモン第一世代として育った金工の吉田泰一郎氏によって生み出された、どの角度から見ても美しく迫力のある作品群。
このシャワーズのなんともリアルでミステリアスな雰囲気。初っ端から心を鷲掴みにされてしまいました。
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正直この迫力は画像だけではなかなか伝わりにくいと思うので、ひとりでも多くの方々が現地に来て観覧されることをお勧めします。
無数の植物と500匹を超えるポケモンを描いた葉山有樹氏の作品は、まるで小宇宙のように神秘的です。
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陶器でフシギバナをつくった今井完眞氏は、口や耳の中、まぶたなど、徹底的に「らしさ」を突き詰めています。これが陶器でつくらているとはとても思えない質感でとても驚きました。
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立体木象嵌の技法で写実的な作品を制作している福田亨氏の作品たち。
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《雨あがり》と題した作品は、むし・ひこうタイプのポケモンのアゲハントがモチーフとなっています。ここでは6種類の木が使われています。
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満田晴穂氏の《自在ギャラドス》は、江戸時代から続く稀少な技術を駆使した自在置物です。
自在置物とは…金属工芸の一つで、関節などの各パーツを実物のように動かせるのが特徴です。
満田氏は自在置物の第一人者で、普段は昆虫や甲殻類の置物を制作しています。ポケモンという架空の生き物を想像しながら制作するなかで、自在置物の伝統にある龍や鯱に挑んだ昔の人々に想いを巡らせたそうです。
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ガラス工芸作家の新實広記氏は、ポケモンの技に注目し、こおりタイプの「つららおとし」をガラスで表現しています。
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ガラス作家の池本一三氏は、一昨年、主催者から出品を依頼された時、ポケモンに関する知識は「ピカチュウぐらい」と決めかねていましたが、資料とともに送られてきた家庭用ゲーム機でポケモンの世界を見てみようと思い立ち半年くらいかけて『殿堂入り』果たしました。
出品を決めたのは、ポケモンを考案した田尻智氏の半生を記した本を読み「子どもの頃、昆虫採集に夢中になった姿が自分と重なったから」だとか。
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そして、ゲームを通して構想したイメージを鉢状のガラス作品3点に投影。主人公の少年と相棒のサルノリらを描いた<冒険のはじまり>、ギャラドスたちが登場する<湖のほとりで>、アーマーガアら活躍したポケモン6匹がそろった<殿堂入り>。すべて絵がつながっており、絵巻物のような構成になっています。
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城間栄市氏は、沖縄で行われる型染「紅型」の三宗家のひとつを16代として継承する作家。今回は、「旅」というテーマで、そこでの風を感じる琉球藍型着物を制作しています。
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パイナップルに似た実をつけるアダンの木の隙間から、沖縄らしい白い砂浜が見えます。坂間氏は、釣りや素潜りで海に向かう高揚感を、ポケモンとの冒険に重ねたのだとか。楽しげに遊ぶポケモンとアダンの葉の図柄を沖縄伝統の技法・紅型で着物に染め上げました。
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金工の坪島悠貴氏。約50の部品で構成したこの出品作品は、構想から完成まで半年かかかりました。バネで部品を固定するなど根付作りで培った技術を駆使しました。会場には同じくらい構造の3点を飾り、ココガラ、変形途中、アーマーガアの形状を見比べてもらうことに。
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桝本佳子氏は、信楽の窯でファイアー・ロコン・キュウコン・リザードンなどの壺を作りました。「信楽焼は炎の色。ほのおタイプのポケモンならぴったりだと思い、初挑戦した」ということです。
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ピカチュウの森 須藤玲子氏
国立工芸館に〈ピカチュウの森〉が出現しました! タイトルにふさわしく、ピカチュウ、そして様々な植物を表したニードルレースのリボンによる構成です。
ニードルレースは糸の芸術。本作では芯材となる特製の布に、ちょうどミシンのように2本の糸で縫いながら模様を表現し、完成したらお湯に浸ける。すると芯材が溶けて、糸だけが残る仕組みです。
今回用意されたレースリボンの総数は約900本。鮮やかな黄色が空間を染め、森いっぱいに光が満ちあふれるかのよう。アーチ形の小道が皆さんを誘います。さあ、ゆっくりと歩を進めてみましょう。
見上げれば木漏れ日がきらめき、奥に目を向けるとレースの重なりがつくり出す陰影に心を奪われます。ピカチュウたちのなんと楽しそうなこと。笑いさざめくその様子に、思わず耳をそばだてたくなります。
実は1本、デザイン違いのレースリボンがあり、そこには1匹だけ色違いのピカチュウが隠れています。森がしかけた小さな秘密を探しに来てください。
紡ぐプロジェクトより
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あとがき
今回取り上げた作品は個人的に印象に残ったものを中心にまとめてみました。まだまだお伝えしたい作品もありますが、今日はこの辺で終わりにしようと思います。
これらの作品はもちろん非売品ですが、もし値段がつけられるとしたら…なんて想像しただけで、とんでもない金額になりそうで、心が震えてしまいました。もちろん、こういった芸術作品はプライスレスな感動をもたらしてくれるのですから、そんなことを考えること自体野暮な話なんですけどね。
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