鳴物入りの話題作が…一転して期待外れの第1話で空前の低視聴率低迷にあえぐ「もしがく」(もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう)だが、ワタクシ的には、第3話ぐらいからそこそこ面白い展開になってきたと感じて視聴した第4話。
最初は大いに戸惑いながらも、劇場存続をかけた初舞台に向けて、それぞれの登場人物がゲネプロに臨むまでのあれこれ…そして演出・脚本を手掛けるクベ(菅田将暉)本人の想定外の展開ながら、周囲は次第にその舞台の魅力に目が離せなくなっていくのである。

このドラマで、ワタクシが個人的にハマっているのが市原隼人演じる用心棒トニー安藤のキャラクターだ。
彼が演じるライサンダーは、ヒロインと恋仲になる重要な役所。これを、一見コワモテで寡黙なトニーが真面目に取り組む様が、なんともコミカルで可愛らしいのだ。以前、大河の鎌倉殿に出演していた時も、本人が集中すればするほど面白みが感じられる不思議なキャラクターだったのだが、今回もまた、コワモテの用心棒が、実は生真面目で声が小さいというアンバランスな人物を見事に演じている。
この彼の「静かなる向上心」には、誰しも圧倒されてしまう。この複雑なキャラクターになり切る市原隼人ってきっとタダモノじゃないと感じさせてくれる(^_^;)
そしてもうひとり。往年の三谷作品、古畑任三郎の、今泉(西村まさ彦)のような、ちょっと空気の読めないけれど憎めないキャラクターを彷彿とさせる、しつこすぎる警察官役の、戸塚純貴さん。
そういえば、この方最近いろいろなドラマでよくお見かけしている。
劇中劇・クベ版『夏の夜の夢』の舞台の今後の展開と、彼らのリアルな人間模様がリンクして今から来週が待ち遠しい。
XなどSNS上では、“♯もしがく つまらない“などと散々の評判が飛び交っているが…つまらないという人は別に呟かなくてもいいし、見なくてもいい。
ゲネプロの冒頭、クベの言葉が脚本家の本意だ。
「皆さん、上手く演じる必要はない!!…大袈裟に泣いたり笑ったりしなくてもいい。そんなことはそこいらの三流劇団に任せておけばいい。お芝居とは、いいですか?世の中を映す鏡だと思ってください。ここに特別なことは何もない。みんなが生きているこの世界をそのまま映しだせばいい。皆さんが自分なりに演じることで、皆さんにしか出来ない、皆さんの夏の夜の夢が生まれるんです」
「もしがく」の世界も「シェイクスピアの喜劇」も、現世の有り様より、はるかに真剣で愚かだから笑える。しかし、これって本当はいまを生きる自分たちそのものなんじゃないだろうか。
メディアやSNS上を支配する…この世の全ての“上から目線たち“をぶった切って、「演劇ということ」に生きるひとたち。もちろん、ありえないことだらけだが、その人間臭さが堪らなく馬鹿馬鹿しくて笑えるし、熱く惹きつけられる。それがシェークスピアのセリフとシンクロするシーンに泣けてくる。
最初のつかみに失敗ると、すぐ面白くない駄作認定。
「分からないこと」は誇れることだろうか?この面白さを分かりたいならシェイクスピアの戯曲のひと幕でも目を通してみたらいい。つまらないと感じる輩が薄っぺらなだけ。
「分かる奴だけが分かればいいこと。でも、分かってみると何よりも面白いんだけどね」などという…これは三谷さんから視聴者に突きつけられた挑戦状なのかもしれない。もちろん、好みは人それぞれなので無理強いはしないけれど(笑)
きっと現代人は食もドラマも…何もかも、早くて安くて分かりやすい「お手軽なもの」に、慣れ過ぎている。だから一旦分かりづらいという烙印を押してしまうと、簡単につまらないという評価を下してしまう。
そんな表面的な“分かり易さ“だけで物事の良し悪しを判断してもいいのだろうか。
そして、もっとタチが悪い輩だと、観てもいないのに「つまらない」などと被せてきてる奴が多いのだろう。
先日、某さんが網走のサンゴ草群落地の記事をアップしていたが、かつてわたしの記事に「いいね」していた輩たちのコメントに苦笑(^_^;)
もう5年程前にこの記事を書いていたのだけど、皆さん、初めてご覧になったみたいなコメント。
S サンゴソウ初めて知りました(^^)タンチョウヅルとサンゴソウの写真素敵ですね〜♪秋の北海道もよき✩
P と言うことは、沖縄でも北海道でも真っ赤なサンゴを観られるのですね。
あの時の「いいね」はなんだったのかしら?単なるスタンプラリーってことなんですかね。
きっとこんな風に、見てもいないのに、いいねだけして、あとあと別な人のところでその時の所業が露呈してしまうのだろう。
だから、SNSのコメントなんてアテにならないのだ。ついこの前も、どこかの議員が懇切丁寧なステマ指南していましたものね。
まさに、このブロサーも現世を映す鏡。
たくさんのいいね欲しさに、女王さまに媚び売りまくりなのね(* ´艸`)
そそ、それからご存知ない方の為にひと言。
「沖縄でも北海道でも真っ赤なサンゴを観られるのですね。」
北海道のサンゴ草の色は真っ赤だが、海で見られるサンゴの色はとてもカラフルなので、「真っ赤なサンゴ」という表現はとは違うような(^_^;)

そしてこの方々は今、沖縄の珊瑚が危機的状況に陥っているのこともご存知ないのだろう。
いま沖縄本島では地球温暖化の影響と台風の接近が少ないため、水温が下がらなく、浅瀬からサンゴの白化現象が進んでいる。
サンゴの白化現象の原因はサンゴと共生して栄養を供給する「褐虫藻」と呼ばれる植物プランクトンが水温の上昇で色素を失ったり、離れたりして、サンゴの骨格が白く見えるため。
2024年、琉球大学の研究チームの調査では浅瀬のサンゴで90%以上の白化が観測されている。ここまでひどい状態になっているのはデータがある中で記録にないと発表されているのだ。
舞台演劇の世界と同じで、このような環境問題も、「映えることだけが全ての人たち」からすると、自分たちには関係のない遠い世界のことのように映るのだろう。
その人たちとって、北海道のサンゴ草と沖縄の珊瑚の色はずっと赤色のままで更新されることは無いのだ。
こういう分かったつもりな会話も、一種の喜劇なのかもしれないけれど。
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