上野動物園の双子のジャイアントパンダの観覧最終日だった昨日(1月25日)、多くのファンが別れを惜しんだようだが…わたしがそれを知ったのは上野に向かう東海道線のグリーン車内で、大声で会話するおばさま方の会話から(^_^;)

グリーン車に乗る理由は様々だが、ほとんどの方が目的地まで静かな環境でゆっくり過ごす為だと思うが…ごく一部の“マナー違反な輩“のせいでそんな気分が台無しになることがある。
まさに昨日はそんなタイミングだったらしく、そのおばさまたちの会話がハッキリ聞こえてきて、わたしにはさして興味の無い話題の押し売りをされたようで、若干イラッとした。そういえば以前、「イラっとした」とコメントしたら、たいそう寛大な方からお説教されましたね(^_^;)
でもでも(〇〇風)、わざわざグリーン車に乗る為に、1人1,000円(タダじゃない!!)も払ってるんだから、通りすがりの人が無料で読めるブログとは訳が違う(笑)
なんて余談はさておき、わたしと娘の目的地は上野動物園のパンダではなく、新春浅草歌舞伎を開催中の「浅草公会堂」だった。
そして、おそらくそのおばさまたちの目的も同じだったようで、これまた大声で、「いま、『国宝』のおかげで歌舞伎のチケットが取りづらくなっているのよ」云々とこれまた関心のない人には“要らん情報“を拡散しまくっていた。こうやって宣伝してくれちゃうと、転売ヤーやら、ニワカやらが湧いてくるからこれまたやめてほしい∑(゚Д゚)
但し、上野駅からは、人ごみに紛れてそれどころでなくなり、東京メトロの浅草駅からは、大勢のインバウンドを含む観光客がひしめき合い、浅草公会堂周辺から館内は、音声ガイドや、ブロマイド、推しの好物を買い漁る光景が広がっていて、新旧問わず歌舞伎ファンの熱気で蒸せ返るような空気に包まれた。
わたし個人的に「歌舞伎」だけを好む訳ではなく、たまたま日程の都合上だが、前日は長女の誘いで、鎌倉能舞台で、「能」の鑑賞をしてきたばかり。

相変わらず、鎌倉もどこもかしこも混雑していて、江ノ電も満員電車のようだった。
さて歌舞伎ファンならずとも、昨年公開されてロングラン上映中の映画「国宝」効果で、今ちょっとした歌舞伎ブームとなっている。
とりわけ今回の新春浅草歌舞伎は、若手の登竜門となる公演で、銀座の歌舞伎座とはひと味違ったフレッシュな魅力満載のパフォーマンスを目にすることが出来る。

過日発信した通り、わたしは市川染五郎さん目当てでこの公演のチケットを入手したのだが、染五郎さんも素敵だが、今回ばかりは、トップページを飾った中村莟玉(かんぎょく)さんから目が離せなかった。
ご存知の方も多いと思うが、同公演に出演中だった中村鶴松の事件から25日で1週間。本日26日に千秋楽を迎える。
莟玉さんは、演じたことのない鶴松が演じていた大役の穴を埋めたばかりでなく、「国宝」で主人公たちが演じていた「藤娘」や「道成寺」を、その美しい容姿と舞で観客を魅了した。
奇しくも、彼も鶴松と同じく一般家庭の出身。人間国宝、中村梅玉のもとで子どものときから修行を積んできた。端正なマスクも印象的で昨年のNHK大河ドラマ「べらぼう」にも出演。立役(男役)、女形の両方をこなせるホープとして期待されている逸材だ。
観劇した人々のSNSには莟玉さんの芝居に「本当にいい」「心打たれた」「あまりに良くて」などとピンチヒッターにもかかわらず「代役離れ」した演技をたたえる言葉が目立つ。
実際のところどうなのか…代役を務めた演目は近松門左衛門の「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」で、通称「吃又(どもまた)」の場。大津絵の始祖、岩佐又兵衛をモデルにした吃音(きつおん)で滑らかに話せない夫・浮世又平(中村橋之助さん)を献身的に支える女房・おとくを、莟玉さんが演じている。
「おとく」という役は長ぜりふが多く、覚えなければならない動きも無数にある。そのため女形の中でも難役のひとつとされている。恥ずかしながら、わたしもこの演目は初見、新作歌舞伎を観覧した経験はあっても、古典は初見の娘に至っては音声ガイドがあっても途中理解不能になり、「吃音」という発声に障害を抱えた主人公のストーリーでもあり、観覧初心者にとっても難しい演目だった。
観る側が理解することが難しい演目なのだから、演じる側の苦労は計り知れないものがあるだろう。にもかかわらず莟玉さんは、この未経験の役を代役するように告げられ、数時間後にはその役を見事に演じ切った。もう、『あっぱれ!!』という言葉以外思い浮かばなかった。
だが今回のような出演者の突然の降板による代役は、過去にも何度かあるというのだから、歌舞伎俳優のすごさは、こんなところにもあるのだと、改めて実感した。彼らは古典のあらゆる役を知り尽くしているのだから。
これこそ、映画「国宝」で描かれていた歌舞伎という世界の凄みとでもいうのか。

まさに、リアル「国宝」を目撃したようで、心を揺さぶられた。



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