名もなき旅人のお節介?

2018年の12月上旬、私と友人はドイツのクリスマスマーケット巡りの旅に向かうべく成田空港行きのリムジンバスに乗っていた。

私はこう見えてもかなり慎重派で、不測の事態に備えて空港には出発の3時間前には到着するように心掛けている。

ただその日は何故か道路が混んでいて、通常よりも3,40分くらい到着が遅れそうな気配だった。まあそれでも、私たちからすれば2時間以上前には到着なので焦ってはいなかった。

ところが、である。空港到着まであと、30分くらいは掛かりそうな地点で、あるひとりの外国人と思しき女性が、走行中のバスの運転手のところに駆け寄り話かけ始めたのである。

当然だが、高速道路走行中は乗客もシートベルトをして席を離れてはいけないことになっている。

私たちは大体いつも、運転手さん側のバスの前方の席に座ることが多い。なので、彼女と運転手さんの会話がよく聞こえる位置に座っていた。

気になって聞き耳を立てていると、彼女は中国から出張で来ていた方のようだった。そして、通常よりもかなり遅れていることを気にしていて、あとどのくらいで空港に着くか運転手さんに確認していた。

私の脳裏にふと不安がよぎった。ちょうど少し前のニュースで、中国本土のとある場所で、バスに乗り遅れそうになった中国人の方が無理やりバスを止め車内に乗り込んで、運転席に詰め寄り、再び走り出した車内でもみ合いとなり、バスもろとも崖下に転落し乗客乗員全員死亡という痛ましい事件を知ったばかりだったので。

その中国人女性の不安も分かるが、他の乗客からすれば、運転手さんには運転に集中してほしい。まして高速道路を走行中である。一歩間違えば大惨事になりかねないと思った。

そこで私は、お節介とは思ったが、その方に話しかけた。聞けば、これから大連に戻る予定だという。フライト時間を確認すると、これから運転手さんがどんなに急いだとしても、出発1時間以内に到着出来るかという状態だった。

いやーこれは何とも厳しすぎる。ふと便名を見ると、JAL便だった。とりあえず空港に電話して、遅れる旨を伝えるのが先決と思ったので、そのようにお勧めしたのだが、彼女が持っている電話は、日本国内では使えないものだという。

そこでこれは乗り掛かった船なので、私のスマホから、JGCの国際線専用の番号に電話した。本来なら空港に電話すべきところだが、大体こういうところは回線が混み合っていて繋がらない場合が多い。今は一刻を争う状況なので、電話代などケチってる場合でもないし。

当然ながら電話はすぐ繋がり、、、私ごとではないが、該当する方がJAL便で、中国籍の方ということ、かなり厳しいタイミングで空港に到着するであろうことを伝えると、なんとか対応出来そうとのこと。

運転手さんもその状況を把握してくれていて、空港に到着するや否や、彼女の荷物を一番最初に出してくれた。私の荷物の受け取りはとりあえず友人に任せ、あらかじめ聞いておいたチェックインカウンターまで中国人女性と走った。話は既に通っているので皆さんスタンバッてくれていて助かった。

中国人女性もホッとしたようで、私にお礼をしたいので連絡先をと言っていたけれど、ただの通りすがりのお節介おばさんのしたことなので、大丈夫ですよと言ってその場を立ち去った♪

それから私は置き去りにした自分の友人のところに戻って、スーツケースを預けて身軽になって、再び、あの中国人女性のいたカウンターを覗いてみた。もちろん彼女はもう居なかった。念のためそこにいた係員さんに話を聞いたところ無事に搭乗したという。

ホッとした。

一番は彼女が無事に飛行機に乗れたこと。そして、これからフランクフルトに向かう私たちの旅に何も支障がなかったこと。そして同じバスに乗り合わせていた運転手さんを含む全ての人が無事だったこと。

JGCは優先搭乗やラウンジを使えるという利点だけではなく、今回のような不測の事態に備えて繋がり易い回線があるということがありがたい。

もちろん、本来こういった使い方をしてはいけないと思っているが、でも、大袈裟かもしれないが人の命が掛かっていたかもしれないのだからその時ばかりはご容赦願いたいと思った。

あの大連の女性、お元気かしら?一見些細な出来事だけれど、日本人は親切と思ってくれていたら嬉しい。

仕事であれ、観光であれ、異国を旅する人は、少なからず不安を抱えているものだ。自分もそうだったが、道に迷っていた時に、親切にしてくれた現地の人や、もしくは同じ旅人だったり、様々な人の優しさが身に染みる。そして人の優しさには国籍も人種も性別も何も関係ないと感じる。


上海万博の時、ツアーで立ち寄った杭州の街で、口コミで評判のマッサージ店にいった。今はどうか分からないが、当時現地の人たちは簡単な英語も話せない状況。恥ずかしながら私はニンハオぐらいしか言えないし、中国語のメニュー等ほとんど理解出来ない。なので、ほとんど勘でメニューを指差しオーダー。

やはり口コミは正しかった。それまで私が受けた施術の中でも三本の指に入るぐらい腕のいいひとに当たった。勇気を出して飛び込んだ甲斐があった。そして帰りの時、チップを渡そうとしたら、笑顔で断られた。でもどうしても受け取ってもらいたかったのでもう一度渡したら受け取ってくれて。。。そのお店のひと全員でタクシーが見えなくなるまで手を振ってくれていた。マッサージもよかったが、何よりスタッフの笑顔が嬉しかった。

そこには私たちが普段知っているステレオタイプの中国人はいなかった。今はもう日本でも見かけないような純朴な人のこころを感じることが出来た。

おそらくそんな素敵な旅の思い出があったから、たまたま同じバスに乗り合わせただけの中国の女性のことも出来れば助けたいと思ったに違いない。

そんな写真にも動画にも記録できないたくさんの思い出たちが、私には一番の宝物だ。


さて、彼女の無事を確認した私たちは、余計にテンションが上がり、搭乗前にもかかわらず名物のカレーや豚汁。。。そして私はスパークリングワインやら。。。かなりの量をエンジョイしてしまったのである。

もちろん、フランクフルトに到着後には、ソーセージとビールを飲みまくったのはいうまでもない。あはは。

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