日本語にすると「天使の分け前」や「天使の取り分」とも言われているこの現象。
「天へと蒸発したウィスキーを天使たちが飲んでいる」なんてまあ素敵なたとえをするものだ。
一見科学的でもあるウィスキー造りの世界なのに、その品質を向上させ、最高の状態に仕上げる工程のなかで起こる目減りのメカニズムは、まだ完全には解明されていないという。
ほんとうに唐突だが、なぜこんな話をしているかといえば、今日は久しぶりに孫がうちに来て、その可愛らしい姿を見せてくれたので、「あーなんて可愛いいのだろう。まるで天使みたいだわ」なんて内心思ってしまったから。
ただ今現状としては、この子を以前のようなスタンスで可愛がることは出来ない。まるでよそのお子様を見るような目で見守ることしか許されない。そんな空気を感じている。
全く意味合いは違う唄なのだが、中島美嘉の「ALWAYS 」が頭の中で鳴り響いていた。
あれは、私が若干苦手とする辻仁成の小説「サヨナライツカ」が映画化された時の主題歌だった。
例えばキミが笑うだけで 明日が見える気がした 例えば誰か傷ついても 迷わず駆け出して 今すぐ会いにいくよきっと
映画の中で、主人公の女性(中山美穂)は一見奔放に見えて寂しがり屋で、婚約者(石田ゆり子)のいる男性(西島秀俊)に次第に惹かれていき、別れてもずっと彼を思い続ける。そんなストーリーそのままの歌詞なのだが、いまの私には全く別の情景が頭に浮かんできてしまう。
言葉は時に、その表面的な意味以上の、もっと普遍的な人間の感情を炙りだす。
まるでそれは、ウィスキーを熟成させる過程で起きる、天使の分け前によってもたらされる魔法みたいに。
そういえば、あの映画の舞台になった、バンコクのオリエンタルホテルのオーサーズラウンジは、本当に優雅で、一生に一度は訪れるべきお勧めの場所だ。
白いグランドピアノの上には、故ダイアナ妃とチャールズ皇太子のお写真や、日本の上皇さまと上皇后さまのお写真がさりげなく飾られていた。
久しぶりに孫の顔を見ただけなのに、エンジェルズシェアの話を思い出し、サヨナライツカ、オーサーズラウンジ、、、そして、そこにある白いピアノが奏でる音色。。。
どこまでも、美しい時間がフラッシュバックのように流れていった。
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