宇宙航空研究開発機(JAXA)の宇宙飛行士候補2人が決定し、2月28日に記者会見が開かれた。
4127人という応募者の中から選ばれたのは、世界銀行・上級防災専門官の諏訪理(すわ・まこと)さん(46)と、日本赤十字社医療センターの外科医、米田あゆさん(28)だ。
記者会見ではそれぞれが合格への喜びや今後への意気込みを語り、記者からの質問に答えた。
その中で話題となっているのが、プライベートに関する質問を聞かれた米田さんの返答。
家族構成やパートナー・子どもの有無などについての質問に対し、米田さんは「家族に関すること、パートナーの有無に関することは、すいません。大変申し訳ないですけれども、プライベートのことで回答するのは差し控えさせて頂きたいと考えております」と毅然とした態度で答えた。
また、同じ記者による「若い女性という観点から、宇宙開発の事業にどんな貢献ができるか」という質問には、「私自身は特に若い女性であるという特性に対して、それを押し出して、と言いますか、それを意識してっていうのではなく、一宇宙飛行士候補生として頑張っていければな、と考えています」と返答した。
このような晴れの会見で、こんなゲスな質問をする記者がいるなんて…この国のマスコミの意識は相変わらず昭和のままなのか。
毅然とした対応をされた米田さんはもちろん賞賛されて当然だが、このようなセクハラ行為が、公の会見で行われるなど言語道断だろう。
しかしそれはマスコミだけの責任かというともちろんそれだけではなく、常日頃から写真週刊誌やワイドショーなどで放送される有名人のプライベートを知りたがる視聴者の責任もあるだろう。
振り返ってみると、ワイドショーなどで取り上げられる情報のレベルは相当低いと言わざるを得ない。
たとえば藤井聡太竜王の勝負飯やおやつがなんだとか、カーリング女子のもぐもぐタイムなど、およそ本筋とは無関係な話題が取り上げられることも多かった。
もうそろそろ日本のメディアも、このような会見では、もっと専門的な話を聞ける記者を派遣すべきだろう。
なにしろ今回は、この国の未来の礎となるような宇宙飛行士候補に選ばれた方々の会見なのだから、これを見た子供たちが「いつか自分も宇宙に行ってみたい」と思えるような夢のある話を聞けるような場であるべきだ。それでこそ多額の税金をJAXAに投入している意義もあるというものだ。
われわれ国民の最も知りたいことは、若い女性宇宙飛行士のプライベートではなく、今この国の宇宙開発はどのような段階にきているのか?そして具体的に国民の生活にどのように生かされているのかということではないだろうか。
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