日本では24日以降“10年に1度“ともいわれる強烈な寒波が襲来する見込みとなっている。災害級の大雪や猛吹雪に警戒が必要などと呼びかけられているが、ヨーロッパでは記録的な暖冬の影響でガス価格の下落が続いている。
欧州の天然ガス価格が昨夏のピークと比べ8割安と急落し、ロシアのウクライナ侵攻後で初めてアジア価格を下回り続けている。記録的な暖冬で消費が抑えられ、例年よりも高い貯蔵率を維持できているためだ。懸念されていた来冬のガス不足問題も解消するとの見通しが多い。もっとも中国のゼロコロナ政策の撤回による需要増が波及し、欧州価格が再上昇する恐れも残る。
日本経済新聞
実はこのところの国内電力・ガスの高騰の一因となったことの発端が、2021年末、日本企業がカタールとのLNG長期契約を終了させたことに端を発するということはあまり知られていない。
カタールは、長年日本のガス需要を支えてくれた最も信頼関係のある産ガス国の一つである。にもかかわらず日本は更新を拒否した。そして日本の更新分600万トンは、結局中国に回った。さらに中国経済の不調による余剰分がドイツに回っている。ドイツは更に、カタールと年間200万トンのLNG長期購入契約を締結した。カタール詣での欧州諸国は、同国の人権批判どころではない。直後、中国とも年間400万トン27年間長期契約を締結。日本の再契約の見通しはない。
痛恨の長期契約切り。このミスジャッジ…実は首相官邸の意向そのものであった。ただただ強引な脱炭素目標に直走った時の政権の方針そのものだったのである。民間企業に罪はない。罪はないが、長期経営戦略に欠けるとしか言いようがない。
しかしこの件について広く知られることはなく、ただロシア・ウクライナ問題だけがことの発端であるかのようにアナウンスされていることがなんとも歯痒くて仕方がない。
今メディアはこぞって記録的寒波に備えていかに暖房効率をあげるかなど家庭で出来る対策を特集しているが、こんな涙ぐましい努力をしなければいけなくなったのも元はと言えば、自らエネルギー危機を招いてしまった政府の責任であり、この問題はもっと追及されるべきだと思う。
ちなみに、このままで行くと今年の日本のGDPはドイツを下回り、世界4位に転落することが濃厚となっている。なんとも皮肉な話だ。
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