総料理長であり総支配人でもある山口浩氏が、フランス留学時代、オーベルジュ「ルレ・ベルナール・ロワゾー」「ラ・コート・ドール」で師事していたのが、ベルナール・ロワゾーという著名な料理人。同店の朝食は、栄養バランスに配慮し、心地よい体の目覚めを促すことで、「世界一の朝食」と称される高い評価を得た。
その朝食を、2000年に神戸北野ホテルの運営を任された山口氏が、ロワゾーの許可を得て「世界一の朝食」の名で、同ホテルのダイニングでも提供することとなる。
飲むサラダは、旬の野菜やフルーツを、酵素を壊さないように低速ミキサーでしぼっている。
パッと見、ホテルの朝食ブッフェとなどと比べて地味な印象かもしれないが、これらの説明を読むと、厳選された素材選びから調理法までいかに手間暇がかけられているものか分かる。それぞれの料理が計算され尽くした芸術的なバランスの上に成り立っている珠玉の作品といえる。
実はわたし、生卵や半熟卵は大の苦手なのだが、この朝食の半熟卵は非常に美味しくいただくことが出来た。こんなに美味しい半熟卵に今まで出会ったことがない。これがきっと本当の“プロの仕事”なのだ。
半熟卵の隣にあるポトフは、昆布と水をひと晩真空で寝かし、低温で加熱した昆布だしに、削りかつお節を入れて仕上げてある。
ジャンボンブラン生ハム…ジャンボンとは”豚のもも肉”、ブランとは”白”。パンの上にバターとハムをのせて食べるのがお薦め。
それから今回は淡雪という白苺のコンフィチュールをいただいたのだが、その製法がいわゆる、果物と砂糖を鍋で煮る従来の調理法とは全く違う、低温による新しい製法によるものだという。これまた異次元の美味しさ。
そしてわたしは、今回初めて”栗の花の蜂蜜”を味わったのだが、ひと口含むと、とても高貴な香りが口の中に広がり鼻に抜けていくような、今まで出会ったことのことのない体験をした。
小粒のタピオカと丹波の黒豆、ドライフルーツやナッツが入ったミルク。ココナッツ、ショコラ、クスクス・レザンなど日替わりで提供されている。この日は、タピオカ・ショコラ。
なにもかも素敵すぎて心が震えた。
さて、今回のメインイベントは終了したが、このあとも旅は続く。
それはまたのちほど。
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