14日(月)のミステリ〜深夜、病院の温室で整(菅田将暉)はライカ(門脇麦)という謎の女性に出会います。
その彼女に促され、クリスマスイブにプレゼント交換をする2人。そこで彼がライカに渡したポストカードがアンリ・ルソーの蛇使いの女でした。
これどこかでみたような気がしたので、、、調べてみたら、パリのオルセー美術館で観てました。ばっちり写真も撮っていました。
海外を旅する利点はたくさんありますが、一部の例外を除きほとんどの美術館で作品の写真撮影がOKなこともそのひとつだと思います。
もちろん写真を撮ったからといって実物とは似て非なるものですが、あとから旅を振り返るとき、一目瞭然な記録として役立ってくれます。
わたしが記憶している限りだと、ヴァチカンのサン・ピエトロ寺院のミケランジェロの最後の審判と、ミラノで観たレオナルド・ダビンチの最後の晩餐だけは写真撮影不可でした。
ルソーの作品は、この蛇使いの女のようなジャングルを舞台にしたものが多数ありますが、実際に彼は南国へ行ったことはなく、パリの植物園でスケッチしたさまざまな植物を組み合わせて、幻想的な風景を作り上げました。
ミステリ〜の場面では、温室(植物園)で出会った2人の関係性が、ライカ(蛇使いの女)と蛇(整)の暗喩になっているようです。
そして更に深掘りしていくと、桜が咲く頃まで生きていられない病院の中の籠の鳥のようなライカの境遇が、生涯フランスから出るどころか植物園よりも遠いところへ行ったことがなかったルソーの謎めいた生涯に重なってみえます。
たった1枚のポストカードですが、こんなところにも整の豊かな教養と鋭い洞察力が垣間見えます。
アンリ・ルソーはパリ市入市税関に勤務しながら、仕事のかたわらに独学で絵を描く日曜画家からスタートしました。49歳のとき、22年間勤めた入市税関を退職し、画家として生涯絵を描き続けました。
ルソーの絵は遠近法を無視した夢想的、呪術的な独特な作風で、そのため稚拙な絵だと批評家からは酷評されました。しかし同時代の詩人ギヨーム・アポリネールやピカソらに注目され、のちにはシュルレアリストや表現主義の画家に高く評価されました。
彼の生涯を知り、改めてその作品に思いを馳せてみると、、、人間の想像力の素晴らしさに圧倒されます。
それにしてもミステリ〜のライカさんもう少しなんとかならなかったのでしょうか。駒(麒麟がくる)よりは薄味でよかったですが、ウィッグが合っていないように感じます。彼女(門脇麦)一応演技派という触れ込みらしいですが、、、余命幾許もない病人には見えません。
今回ゲストの下戸陸太を演じている岡山天音さんが好演しているだけに、ちょっと見劣りしてますよ。
それでは誰がいいかと聞かれるとそれもまた困るのも事実ですが。。。女優って基本的に皆さん強いじゃないですか?なかなか儚げな女性を演じるって難しいと思うのです。
まあしいていうなら美女という設定は難しいかもしれませんが、黒木華さんレベルの演技力が欲しかったです。
そういう意味でいうと菅田くんをはじめとする男性陣の役作りは立派だと思います。
そしてやはり、、、風呂光が整を意識する恋愛要素はいらないと思います。
最後に、アンリ・ルソー一番の代表作といえば、眠るジプシーの女なのだそうです。そしてこれはニューヨーク近代美術館の所蔵なのでおそらくわたしも観ていたはずなのですが、なぜか写真が見当たりません。
こうやってあとになって後悔することがないようにしっかり写真を撮っておくことの重要性を今さらながら痛感した次第であります。バカバカバカ〜過去の自分を小一時間説教してやりたい気分だわ。無知ほど怖いものはないですね。
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